言語行動とは、言葉の意味がその機能に見られるという考えに基づく学問です。
言語行動を提唱したB.F.スキナーは、言語行動を「言語の形態」ではなく「言語の機能」によって分類しました1)。
たとえば、トイレを見て「トイレ」と言うのとトイレに行きたくて「トイレ」と言うのは、形態は同じですが異なる機能です。
また、言語としての機能を持つものは「言語行動」と考えるため、たとえば絵カードで欲しいものを要求をしたとしてもこれは言語とみなされます1)。
これらは言語行動の機能は同じなので同じ機能(マンド)とみなされます。
言語行動は、その機能によって分類されます。ここでは以下の7つの言語行動を紹介します。
1) マンド
2) タクト
3) イントラバーバル
4) エコイック
5) テキストコーピング
6) テクスチャル
7) トランスクリプション
1) マンド
1つ目の言語行動はマンドです。 要求の機能をもつ言語です2)。
おやつちょうだい
蓋を開けて
抱っこして
など何かを得たいという要求にも使用されます。
また、
やめて
どいて
やりたくない
など否定の要求もマンドに含まれます。
要求が叶えられることによって行動が強化されます。問題行動の発生と抑制に直結する言語機能なので、まず最初に取り組みたい課題と言えます。
2)タクト
2つ目の言語行動はタクトです。 誰かに意思をつたえる目的の言語ではなく、視覚や聴覚、味覚など、自分が何かを見た・感じた時に出る反応です2)。
たとえば
電車をみて、「電車だ」と呟く。
辛いものを食べて思わず「辛い」と声が出る。
などです。
3)イントラバーバル
3つ目の言語行動はイントラバーバルです。人と人の間で起こる言語行動の交換です2)。相手からの反応が強化子となって維持されます。
「こんにちは」と言われて「お久しぶりです」と返す。
「ありがとう」と言われて「どういたしまして」と返す。
このように人と人との間で起こる言語の交換です。
4)エコーイック
4つ目の言語行動はエコーイックです。相手が言った言葉をそのまま復唱します2)。おうむ返し、とも言います。エコーイックのスキルがお子さんにつくと、新しい発語を学びやすくなります。
「みかん」と言われて「みかん」と返す。
「くま」と言われて「くま」と返す。
などです。
5)テキストコーピング
5つ目の言語行動はテキストコーピングです。
書いてある文字を書き写すと言う言語行動です2)。
たとえば先生が黒板に「たいよう」と書いたのを、自分のノートに「たいよう」と書き写す、などです。
6)テクスチャル
6つ目の言語行動はテクスチャルです。
書いてある文字を読み発語すると言う言語行動です2)。
先生が黒板に「しんかんせん」と書き、それを「しんかんせん」と読む、などです。
7)トランスクリプション(ディクテーション)
7つ目の言語行動はトランスクリプション(ディクテーション)です。人が言った言葉を文字起こしするという言語行動です2)。
たとえば、先生が「さくら」と言ったのを自分のノートに「さくら」と書くなどです。
まとめ
言語行動の機能について解説いたしました。ABAスクールTogetherでは、行動の原理・ABAの理論を広く学び、ABA国際資格であるABATの取得を目指すことができます。是非私たちと一緒に学んでみてください。
参考文献
1)応用行動分析学 – 2013/5/30ジョン・O・クーパー (著), ティモシー・E・ヘロン (著), ウイリアム・L・ヒューワード (著), 中野 良顯 (翻訳)
2)The ABA Visual Language: Applied Behavior Analysis– 2017/5/1 Makoto Shibutani
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